
「今年は本当に疲れます。」
昨年の10%消費税で会社も暮らしもしんどくなったところに追い打ちをかけるような新型コロナウイルス問題、中国共産党のやりたい放題問題、マスコミのやりたい放題問題、私の老化現象進行問題。
世の中結局「金」と「権力」だという圧を日々感じさせられる日常。
「どんなに良いことも結局お金が尽きたら終わりでしょ。」
「どんなに崇高な理想も権力がなければ実行できないでしょ。」
と風に言われているような気になる。
残念ながら私と夫はこの二つに全く縁がありません。
縁は意識して、または認識してこそ生まれるもではないでしょうか。
たとえば「水」を認識することはたやすいですが「気化した水蒸気」は敢えて意識しないと認識できません。
湿度計を見るとか、蒸し暑くなってきたと感じるとか。洗濯物が乾いたのだから室内に水は気化したのだろうと思うとか。
私と夫はこの「水」はまあ、普通に意識もするし認識もできるようですが、こと「金と権力」となるとからっきしピントが合いません。
それ故に縁もありません。
現代社会に取り残される孤独感は結構半端ないです。
だから二人で助け合ってやっとこさです。
もくじ
『星の王子さま』との付き合い方・第1夜
さて、異なる時代の空に消えたサン・テグジュペリが描く「星の王子さま」の中に私は何を見ることが出来るのでしょうか。
ほんとうに大切なものを見つけることができるでしょうか。
いつものように初めは一語一語を丁寧に、単語一つ一つを噛みしめながら読み始めたいと思います。
子供の頃からそういう風に読むのが私の流儀だからです。
芋虫の歩みのようなゆっくりなスピードですがお許しください。
Chapter1
賢い少年だったアントワーヌは6歳でこの手の経験をしていたのでしょう。
Chapter2
「ほら、木箱だ。きみがほしがっているヒツジは、このなかにいるよ」
するとどうだろう、小さな気むずかし屋さんの顔が、ぱっと明るくなったのだ。
「これだよ、ぼくがほしかったのは!このヒツジ草をいっぱい食べるかな?」
分からないことを無理やり知っている簡単な言葉で置き換えて分かったような気になったり、出来ないことを同様に適当に体裁だけ整えて出来た気になったりするよりも、敢えて想像の余白を残したみずみずしい発想に柔軟性と優しさを感じて驚きました。
じんと胸に染みます。若干涙腺が緩んでしまいました。
Chapter3
星の王子さま「じゃあ、きみも空から来たんだね!どこの星から?」
僕「それじゃきみは、よその星から来たの?」
だが王子さまは、答えなかった。僕の飛行機を見つめながら、そっと首をふっただけだった。
明らかに会話がちぐはくです。
王子さまは空から来たのは確かだが、よその星からきたのではないということしかわかりません。
Chapter2、3
「ぼくのところ、とっても小さいから」
P21
「ほんとうに小さいから、ぼくのところは!」
こうして僕は、とても重要な二つ目の事を知った。」王子様の故郷の星は、一軒の家よりほんの少し大きいぐらいでしかない、ということを!
ふわっとイメージされたのはレオン・ヴェルトが隠れていたジュラ山脈の山荘でした。
もう一つは飛行機の中というとても小さくて大きな世界。
Chapter4
とても共感できる箇所ですね。人はそういう不自由な思考回路をもつ生き物なのです。
6年という具体的な数字から、そしてサン・テグジュペリの真っ直ぐな性格から、これが適当に当てはめられた数字ではないと思えます。
「星の王子さま」は42才の時の作品です。
42-6=36才の頃のサン・テグジュペリはリビア砂漠で生死の間をさまよった直後の年でした。
リビア砂漠に不時着した当時のサン・テグジュペリ本人と再会した心象エピソードのような気もしてきます。
リビア砂漠に不時着する前のサン・テグジュペリはきっと大空を飛ぶことに自信と誇りを持っていたに違いありません。
ですが、生死の境をさまようほどの衝撃に会い、彼の中で何かが大きく変化した可能性はあります。
少なくとも子どものように恐れを知らない無邪気な心ではなくなったのではないかと想像します。
天職と信じて疑わなかった飛行の仕事を通して心の試練を味わったのかもしれません。
サン・テグジュペリは児童書を読む子どもにわかりやすくするために、全体を通して「子ども」と「大人」という二つを対比させて物語をすすめています。
そこから勝手に推察するのですが、6年前にいなくなってしまった人は「子ども」のサン・テグジュペリだったのではという可能性があります。
僕は「大人」のサン・テグジュペリ、星の王子さまは「子ども」のサン・テグジュペリという感じでしょうか。
まだ、Chapter4のP25です。推察はこの辺にして先へ進みたいと思います。
説明をしない相手というのは普通、子どもを連想します。
それと、突然身の回りで巻き起こる運命というものもその理由を説明せずに包みこみ、そして去ってゆくものかと思います。
「じゃあ、バオバブも食べる?」「バオバブも大きくなる前は小さいでしょ。」P31
「ぼく、なまけ者が住んでた星を知ってるんだ。そいつ、バオバブの小さな木を三本ほっておいたから……」
コミュニズムやファシズムというものが世界を覆っていった時代の暗く重いイメージが広がります。
もう一つ浮かんだのは人の内心の中に芽生える負の感情です。憎しみ、妬み、恨み、恐怖、不安、嫉妬、などの。
生きていれば人の心は刻々と変化するものです。
優しいお父さん、お母さんにただ守られていた世界から一つ一つ広い世界へ歩みを進める度に、心は時に成長を、時に堕落をしながら変化していきます。
新しい人との出会いや降り立つ環境によって否応がなく人は変化せざるをえません。
体の細胞が破壊と再生を繰り返すことによって成立している、それが人間だからです。
負の感情は人が成長するためには必要不可欠な要素だと私は思います。
その負の感情を思考することでどう処理するかが成長の鍵を握っているのではないでしょうか。
負の感情を見て見ぬふりをしてやり過ごすのか、それとも向き合って乗り越えるのか、成長の度合いは大きく変わってくるはずと。
Chapter3に戻る
星の王子さま「じゃあ、きみも空から来たんだね!どの星から?」
僕「それじゃきみは、よその星から来たの?」
だが王子さまは答えなかった。僕の飛行機を見つめながら、そっと首をふっただけだった。
星の王子さま「そうだね、これじゃ、そんなに遠くからは来られないね……」
星というキーワードを最初に出したのは星の王子さまであるということを確認しておきます。
星の王子さま自身が星を連想さていますが、王子様自身は星の存在していた空間に関する情報を一切説明していません。
この世の星であるようで、この世の星でないような。
いわゆる星で連想するような姿かたちはしていないのだと語らない余白にイメージさせています。
Chapter5
王子さま「毎日のきまりにすればいいんだよ。朝、自分の身づくろいがすんだら、今度は星の身づくろいをていねいにしてあげるんだ。それでそのとき、これはバラじゃなくてバオバブだってわかったらすぐに、きちんと抜くようにする。はじめのうちは、バラとバオバブってよくにているから。おもしろくもない仕事だけど、とってもかんたんさ」
いい絵を一枚がんばって描いておいたほうがいいと、王子さまはすすめてくれた。
「いつかその子たちが旅をするときに、役に立つと思うよ。仕事には、先延ばしにしてもだいじょうぶなものも、たまにある。でも、バオバブの場合は、ぜったいに取り返しがつかなくなる。ぼく、なまけ者が住んでた星を知ってるんだ。そいつ、バオバブの小さな木を三本ほっておいたから……」
星の王子さまは「なまけ者が住んでた星」を知っているといいます。星の王子さまの星とは別の星ということです。やはり、ここでいう「星」とは宇宙空間に存在する地球や惑星や太陽のような「星」ではないようです。
「星」は何かの例えであるようで、それが何の例えなのかはまだ分かるようでわかりません。
わからないので、仮に「星」を「こころ」に、「バオバブ」を「負の感情」に置き換えてみます。
「まさにそうしたとんでもない種があった……それが、負の感情の種だったのだ。しかもこころの土は、種だらけだった。そもそも負の感情は、抜くのが遅くなると、二度と取り除けなる。そうしてこころ全体をおおう。根がこころを貫通する。こころはとても小さいから、そんな負の感情が増えすぎると、ついには破裂してしまう。」
やっとChapter5まで来ました。
このシリーズは全5回でお届けいたします。