
先生の顔色を伺う子供
そろばんでも、普通の勉強でもそうですが、自分が書いた式や答えが合っているのかどうか、先生の顔色を見て判断しようとする子供がいます。
例えば、「5+7」をそろばんで計算して、答えが「12」になります。
「やってごらん」と先生に言われて、子供はそろばんを弾くのですが、
「+7」を入れて答えが「12」にちゃんとなっているのですが、そこで目線が私と合う。
つまり、私の顔色を伺っているのです。子供の内心はこうです
「合っているかな?間違っているかな?先生の反応はどうかな?」
こんなとき、私はポーカーフェイスで対応します。
私の顔つきで「正解・不正解」を判断されてはたまりません。
そろばんも、算数も他の勉強でもそうですが、
大切なことは「正解・不正解」ではありません。
「どう考えてそうなったか」です。
そろばんの勉強を続ける中で、検定に合格し、計算力を身につけることも大切ですが、
勉強するための根本のマインドを育てることも大切です。
「正解できればそれでオッケー」というマインドは、私の目指すものとはかけ離れます。
「正解できればそれでオッケー」がダメな理由
まずは次の問題をご覧ください。
こういう問題で〔10.4÷7.8〕という式を作ったら、その子は要注意です。
「正解できればそれでオッケー」で算数の勉強を続けてきた可能性が高いからです。
こういう子供は、数字を次のように変えると正解することができます。
式)30÷10=3 答え 3kg
「10」「30」という2つの数字を見て、
「大きい数」を「小さい数」で割ったらいいじゃない。
という頭の働かせ方で処理してしまいます。
わり算の意味を考えて式を作ったのではありません。
そんな風に問題と向き合うことが続くと、
のような問題では、「10.4」と「7.8」の2つの数を見て、「10.4」の方が大きいので、わり算の意味も考えずに
〔10.4÷7.8〕
という式を書いてしまう子供になってしまうのです。
顔色を伺ってくる子供への対応
正解・不正解の基準を、先生の顔色に求める子供の気持ちは、実は無理もないことです。
勉強をしていて、自信のない場面に遭遇すれば、
自分以外の誰かに救いを求めたくなるのは人情というものです。
しかし、この部分に関しては、私は子供の心にズバッと斬り込むことにしています。
もちろん、ユーモアを交えて、笑いながらです。
「先生の顔に何か書いてますか~?」
「ほっぺに数字とか書いてますか~?」
「5+7でなんでそういう風に珠を動かしたの?」
子供「……」
先生の顔色を伺うような状態から、自分の考えが言える子供はほとんどいません。
ここで、考え方を教えます。
先生に聞かれたときの答え方も教えます。
自分の考えを伝える練習をするのです。
×間違ったことを言うのは恥ずかしい
〇考えを聞かれて何も言えないのは恥ずかしい
×勉強では、「正解して〇」になるのがよいこと。
〇勉強では、「正解して〇」になることばかり考えていると、考える力が弱くなる。
このような考え方、マインドセットの種を子供達の心にコツコツと蒔いていくことが、指導者の基本姿勢としてとても大切なことだと考えています。