「自分で考える」態度を育てる【その2・算数あるある】

 

前回私はこのような記事を書かせていただきました。

もくじ

算数の文章題でよくある間違い

子供が算数の文章題を解くとき、「計算の意味」が分かっていないとひどいことになる話は、前回の記事で少し触れました。

今日は、そのあたりのことを掘り下げてお話いたします。

 まずは、私が実際に遭遇した文章題の間違いをご紹介します。

 

例題1
色紙で つるを おっています。
ゆきさんは 13わ おりました。
やかさんは 28わ おりました。
のぞみさんは 何わか おったので、つるは 全部で 60わに なりました。
のぞみさんは 何わ おりましたか。

【生徒の誤答】

28-13=15 60-15=45     

答え 45わ

 

【模範解答】

28+13=41 60-41=19     

答え 19わ

 

 28+13=41のあと60から引くのが正解ですが、13と28の処理で間違っています。

数字しか見ていないのか、文章が読めないのか、とにかく深刻です。

例題2
定価3400円のくつがあります。
定価の8割5分で売るとすると、代金は何円でしょうか。

【生徒の誤答】

8割5分=0.85

3400÷0.85=4000 

答え 4000円

 

【模範解答】

8割5分=0.85

3400×0.85=2890 

答え 2890円

 5年生の割合の問題です。

かけ算を使うのか、わり算を使うのか、完全に混乱しています。

また、割引すれば、もとの値段よりも安くなるはずなのに、そこに気付いていないのも深刻です。

 こういう間違いをする生徒は、根本から理解し直す必要があります。

 

どうするか。

一番よいのは、分かる学年まで戻って勉強し直すことです。

ところが、普通の学習塾に通うと、目前に迫るテストの勉強ばかりやることになりますから、こういう間違いを繰り返す根本原因を解決することはできません。

おすすめは、3年生『何倍でしょう』あたりから復習することです。

算数プリント3年生 何倍でしょう・計算のじゅんじょ

考えない子供への対応

 文章題を解くときに、本気になって問題の意味を考えない子供にはいくつかのパターンがあります。

 

思いつくままに列挙いたします。

 

パターン1
勉強なんて、早く終わってほしい。だから、とりあえず正解が書けたら問題の本質なんてどうでもいい。
パターン2
勉強が嫌いではないけど、計算の意味が分からないし、どうせ今までもよく分からなかったので、正解が書ければそれでいい。
パターン3
勉強がよくできるつもりだし、自分は勉強ができるように振舞いたいので、問題の本質よりも正解がきれいに書けるほうが大切。

 

①~③はあくまで、今までに私が出会ってきた生徒の典型例に過ぎません。他のパターンも探せばあると思います。

①のタイプでは、まず勉強を好きになってもらう必要があります。

あの手、この手を使って、勉強に対する自信や、立ち向かう気力を取り戻してもらいます。

なぜ本人の気持ちが勉強に向かないのかは、その親子からじっくりとお話を聞いて原因を根本的に解決する必要があります。

考える力を育てることは同時進行でやってゆきますが、最優先ではありません。

 

 ②と③のタイプは、ほぼ同じ対応でいい

どちらかというと③の方が厄介です。

見栄っ張りで、分かったふりが上手な子に③のタイプが多いからです。

 

要領もいいので、テストでいい点数をとってきます。

自分で考える力がないまま大学進学までいってしまうケースもあるでしょう。

そうなるとひどいので、小学生のうちになんとかしておきたいものです。

どちらも、学校やうち以外の塾で刷り込まれた「固定観念」を壊し、マインドセットを立て直す必要があります。 

 

算数の文章題における考える力 

算数の文章題に強くなる指導は、2文でまとめることができます。

先生は、身近な問題に置き換えて生徒の理解を促し、図や絵を多用して説明する。

先生が描いた図や絵は、家に帰ってからノートに写す宿題にして、ノートに写したら、もう1回問題を解く。

ただこれだけです。

この修業を私の元で1年続けた生徒は、算数の文章題を見て、自分で図や表や絵が描ける子になります。つまり、算数の文章題における「考える力」を獲得したことになります。

そのかわり、きちんと家で宿題をやらなくてはなりません。

しかし、私は宿題をやってなくても怒りません。

「宿題をやるのも、やらないのも、あなたの自由です」

とやります。

こうした言葉かけも「考える力」を育てるために大切ですが、それについては次回以降でお話いたします。

さくらぷりんと
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