
「やる気スイッチ」なんて言葉が少し前に流行りました。
私も子供に勉強を教える者として、子供のやる気を引き出す工夫については一応勉強してきました。
あの「やる気スイッチ」という言葉が流行っていた頃、生徒達によく言ってたことを思い出します。
「そんなスイッチあるんだったら、自分で押せよ」
「誰かに押してもらわないとやる気出ないとか、情けないと思わない?」
これらは、小学校高学年~中学生向けの言葉です。
「やる気」という言葉を「主体性」と言い換えてみます。
勉強というのは、本人が主体性を持ってやってくれるのが一番ですが、そうなるのは一足飛びにはできません。
長い間の習慣として身につけるものです。
私の教室が、いかにしてそれを実現しているのか、
そろばん教室で行っている実際の指導をご紹介いたします。
もくじ
1.記録表
まずはこちらの写真をご覧ください。
教室で先生が使っている、生徒の学習を記録する一覧表です。
「記録表」と呼んでいます。
生徒がレベルアップすると、こちらに記入します。
そして、授業が終わるたびに、この表は更新されます。
私がこの表を見ると、その時点での生徒の課題が一目で分かるようになっています。
「かけ算」「わり算」「見取算」のレベルのバランス。
「そろばん」と「暗算」のレベルのバランス。
その他の教材の進捗状況。
これらを考慮して、そのときの生徒に頑張ってほしいポイントを考えます。
そして、この表は、生徒も使います。
2.学習の記録
上で紹介した「記録表」の横に、「学習の記録」を添えて撮影しました。
この「学習の記録」は、教室に来た生徒が「その日にやること」を書いて、勉強した結果を記録するためのノートです。
幼児や小学校低学年では、「その日にやること」を先生が書いてあげます。
しかし、生徒がアールズに慣れて、だんだん仕組みが分かってきたら、「その日にやること」を「記録表」を見ながら自分で決めて書くようになります。
また、「その日にやること」は生徒が自分で書いていることがお分かりいただけると思います。
「その日にやること」を「自分で決める自由」が教室にはあるのです。
3.レベルアップは自己判断
ご説明したように、生徒には、
「その日にやること」を「自分で決める自由」があります。
しかし、このときに、生徒にとって重大な問題が発生します。
それは、
「レベルアップをすべきかどうか」
という問題です。
私の教室では、数年前までは
「同じレベルのプリントを3回合格したらレベルアップ」
としていました。何も考えなくてよい仕組みです。
しかし、今では
「フリーレベルアップ制」
にしています。
そのプリントのレベルを上げるかどうかは生徒本人が考えて決める。
先生は、なるべく介入しない。
というルールにしています。
そんな子供任せにして大丈夫なのか?
と心配する方もおられるでしょうが、私の教室は在籍生徒の15%以上が暗算1級に合格しています。(時期によっては20%を超えるときもあります)
香川県の暗算コンクールでは、毎年複数名の入賞者を輩出しています。
しかも、私の教室は
「そろばんばっかり勉強する教室」ではありません。
アールズ国語そろばん教室 の名の通り、そろばんだけでなく、国語も勉強する生徒がいます。
4年生以上は、すべての生徒が大量の文章題のプリントに取り組みます。
「そろばん専門教室」でないにも関わらず、
そろばん学習で成果を挙げています。
現在採用している、生徒まかせの「フリーレベルアップ制」はうまく機能していると言って良いでしょう。
さて、この「フリーレベルアップ制」ですが、実際に生徒はどのように悩むでしょうか。
現状維持ならば、合格点を取り続けられますから、現状維持でいた方がよさそうなものです。
しかし、レベルアップしなければ、上達できないことは生徒自身もよく分かっています。
それに、レベルアップをしなければ、自分の級はいつまでたっても同じままです。
だから、どこかで踏ん切りをつけて、レベルアップを決断する必要があります。
それに、ほとんどの生徒は、
「君は、このレベルまでいったら、次の検定に受かるよ。頑張ってね」
と私からのレクチャーを受けているので、それが脳裏にあります。
表向きは「フリーレベルアップ制」なのですが、仕組みとしてはレベルアップした方がよいという力学が働いています。
4.自由にしているからこそ
その生徒の理解力にもよりますが、3~4年生ぐらいまでは、もたもたしていたら先生がレベルアップを促します。
しかし、5~6年生に対しては自由であることの意味と、自由の下でどうするかを考えてもらいます。惰性で練習することは許しません。
「何月の検定で何段が目標なのか」
「そのために今した方がいい練習は何か」
そんなことを生徒と会話しながら、私はアドバイスします。
合格の目標に期限を設けること。
「親や先生がやれというからやる」
ではなく、生徒自身が自分で決めて練習しています。
自分で決める自由があるからこそ、主体性が生まれます。
考えてみれば、当たり前の話です。
5.まとめ
「やらされる勉強」ではなく「自ら取り組む勉強」をどう実現するのか。
そのための仕組みを具体的に見ていただきました。
目標に向かって生徒自身が主体的に努力する
私の教室は、これの実現に向けて真面目に取り組んでいますというお話でした。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。