
まだ20歳そこそこの時に、塾のアルバイトを始めました。
その塾はもうありません。
給料も安かったですが、今思えば面白い経験をしました。
私は最初、小中学生の国語の担当で入ったのですが、先輩の英語の先生がアル中になってしまいました。
そこで「おまえ英語やれ」「は?」となって、必死に辞書にかじりつきながら英語の指導をしていました。
そのときは、一応国立大学の学生だったので、何でも教えられると思われていたのです。
やっと英語の授業に慣れたころ、今度は数学の先生が体調不良で九州の田舎に帰るというのです。
そこでまた「おまえ算数やれ」「へ?」です。
さすがに数学まで担当すると負担が大きすぎるというので、中学高校の数学の先生は新人の先生を雇ってくれました。
さあ、経験もない若い私が、受験生を見なくてはいけません。
夏期講習なんか朝から晩まで必死でした。
夜、帰宅した後は、次の日の板書計画を書いたりしていました。
自分のやり方が合っているのかどうか、教えてくれる人はいませんので、すべて暗中模索です。
おかげで、いろいろな本を読み漁り、自分で指導法を考えるクセが身につきました。
まあ、私なりに一生懸命やっていたわけです。
特に算数に力を入れていたのですが、やってもやっても伸びない子がいます。
なんでかな、と考えてみると、大体原因が二つに絞り込まれます。
1本を読まない 2計算が遅い
この2つです。
大量に読書をする生徒は、元々理解力が高いので、ここ一番でどーんと成績を伸ばすことができます。
計算が速い生徒は、算数はまあ得意です。逆に遅い生徒はかわいそうになります。
ずっと勉強をみていて、だいたいこの2つだなと思ったとき、
「そういや、おれんちってそろばん教室じゃん」
となったのです。
ずっと塾の仕事をしていたので、そろばん教室を継ぐ気はありませんでした。
しかし、「そろばん素晴らしい」と再認識した若き日の私は、
そこに国語も混ぜて
アールズ国語そろばん教室
という名前にして、祖父の教室を継いだのです。
で、ここからまたいろいろあって
こんな教材があったらいいのに
という教材を探すのですが、だいたい無いか、それともべらぼうに高いかのどっちかです。
だったら作っちまえ
と手作り教材をやり始めたのです。
この手作り教材で授業をするというのは、これはなかなかに中毒性がありまして、
自分で作った教材で勉強を教えると
非常に教えやすいし、生徒の理解もいいのです。
ということで気が付いたら塾の先生を始めて30年が経ってました。
これからも自分で教材を作って自分で教えるというスタイルを貫いていきたいと思っています。
ちなみに、トップの写真は、瀬戸大橋記念公園で昨日撮ったものです。
皆様よい夏休みを。