
つい先日のこと、妻から一つメールが届きました。
塾の仕事終わりにそのメールを開けてみると、ある女性セラピストさんのYouTube動画でした。
聞き流しながら帰宅しました。
愛着問題がテーマの動画でしたが、聞いてみてなるほどと思わされたので、興味の赴くままに深堀りしてみることにしました。
私と妻は、こうなると関連本をバババッと購入して読んでみるのが常なので、今回もそうなりました。
『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』岡田尊司
『マンガでわかる愛着障害』岡田尊司監修 松本耳子漫画
『母という病』岡田尊司
『愛着障害 子供時代を引きずる人々』岡田尊司
『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で人は変われる』岡田尊司
『回避性愛着障害 絆が希薄な人たち』岡田尊司
『ADHDの正体 その診断は正しいのか』岡田尊司
話はちょっと脱線しますが、去年妻が嫁ブログ(今は公開していません)で発達障害に関する記述を少しアップしていました。
その内容は自閉症スペクトラム障害、アスペルガー症候群、学習障害などについてです。
その時の紹介本も岡田尊司先生の本が中心でした。
ところが、その際に一番トップに取り上げそうなADHDに関してのブログを書くことにはなりませんでした。
妻曰く、「ADHDに関しては簡単には書けないと直感しているのでもっと勉強してからにする」。
結局、嫁ブログは途中で閉鎖することになったのでADHDに関する探究も一時中断されていました。
そして今、ここへきて偶然にもADHDに関連付けられることになりました。
余談ですが、「最近知ったこと パート3」でも面白い本の紹介を予定しております。
そちらもただ今勉強中のためもうしばらくお待ちください。
では、今から『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』をご紹介します。
いきなり本文抜粋からいってみましょう。
もくじ
「境界性パーソナリティ障害」「摂食障害」「子どもの気分障害」「ADHD」は愛着の問題が原因?
(本文抜粋)
こう言い切っています。
「ADHD」は遺伝要因が強いと専門家たちが言い続けてきたので、私もそれを信じていたのですが、実は少し違うようです。
「ADHD」には、遺伝要因と養育環境の影響がそれぞれ絡み合っていることが最近の研究で分かってきました。
不安定な愛着がリスクファクターとなるものは「ADHD」だけではありません。
依存症、希死念慮、解離性障害、原因不明の身体疾患、慢性疼痛、虐待、DV、いじめなどが挙げられています。
どれもこれも今日の社会のなかで問題視されているものばかりです。
現代社会に向き合う上で、愛着の問題を避けて通ることは出来なさそうです。
オキシトシンが哺乳類の命綱
愛着は乳幼児期に母親との特別な関係の中で形成されます。
オキシトシンという絆ホルモンをたくさん浴びることで、安心安全の感覚を心に持つことができます。
オキシトシンによって、ストレスや不安に強くなり、認知的、身体的発達が促進されます。
逆にオキシトシンが不足すると多動や衝動性、不注意が起きやすくなり、知的発達においても不利になります。
自己免疫疾患やアレルギー疾患にも悩まされることになるため、感染症にもかかりやすくなります。
親に愛情を十分に注いでもらえなかった子は、心理面だけでなく、身体的にも弱くなってしまいます。
オキシトシンに支えられた愛着の仕組みは哺乳類の命綱なのです。
愛着障害が「現代の奇病」であるわけ
(本文抜粋)
自律神経失調症、気管支喘息、アレルギー疾患、肥満、うつ病なども、元を辿ればオキシトシン受容体の問題に行きつきます。
昔は、オキシトシンの働きが悪く免疫力が下がった子どもの多くは、成人になる前に亡くなっていました。
だから、愛着障害が社会問題にはなり得ませんでした。
しかし、医学の発達により、オキシトシンの働きが悪い子供でも、生き延びることができるようになりました。
このことが、原因不明の精神不良や体調不良の人の数を増やすことになったのかもしれません。
「依存症」を解決した結果、前触れもなく自殺するケースも
(本文抜粋)
愛着障害は、自殺念慮や自殺企画のリスクを高めますが、愛着タイプによって違いもはっきりあるようです。
たとえば、回避型の人は、仕事がうまくいっているかどうかが、リスクに強く作用しています。
回避型の人は依存に陥りやすいのですが、アルコール、薬物などの依存症でごまかしている間は、まだ安全装置が働いています。
このとき、愛着の問題を解決することなく「依存症」だけを解決してしまうと、唐突に自殺する場合もあるそうです。
愛着障害の問題が見えていないと、「せっかく依存症を解決したのに、なぜ突然自殺したのか、わけが分からない」ことになります。
愛着障害から発生した「依存症」の解決は、対処療法でしかありません。
根本原因である愛着障害からの回復がなければ、悲劇的結末を迎える可能性があるということです。
誰も悪くない
愛着障害自体は、人類が始まった当初の昔からあったと推察されます。
元々は、深刻な愛着障害をもつ子どもの多くは、成人まで生きられなかったと類推されます。
徐々に医学が進歩し、科学の発達や社会の発展とともに、現代のような状況が生まれるようになりました。
思春期に突然問題行動を起こすなど、成長過程で大きな弊害が露見したり、
社会に出てから行き詰まったり、
結婚後にパートナーとの関係で困難が生まれたり、
自らが親となることで問題と直面したり、
愛着障害から生じる問題は多様化しています。
本書をお目通しいただければ分かりますが、現代は見渡す限り愛着障害の要因だらけです。
自分が愛着障害だからといって、誰が悪いわけでもないと思います。
まずは愛着障害という言葉を知ることで、問題は解決に向けて動き始めるでしょう。
この本の最終章は『「死に至る病」からの回復』というタイトルになっています。
ここまで長々と本書を抜粋しつつ補足してきましたが、自分には関係ないと思われる方には回復編までを知る必要はないかと思われます。
その反対に回復編の内容を強く知りたくなった方は、是非本書を手にとってみてください。