
今日は本のご紹介です。
当教室はずっと国語とそろばん指導をしてきました。
所謂、「読み」「書き」「そろばん」です。
ディスレクシアとは切っても切れない関係です。
ディスレクシアについての定義はここではいたしません。
なぜならディスレクシアは非常に身近で、かつ多岐にわたる症状を持つ発達障害だからです。
専門家でもない私が軽々しくディスレクシアを定義することなど決してしてはいけないのです。
ですから専門家としての意見ではなく、子供を持つ親として私がまず言いたいことは、ディスレクシアの子供が非常に聡明だということです。
物事の本質を見抜くことに長けています。
ゆえに小学校に進学するまでは本当に賢い子供です。
ところが小学校に入学したとたん、苦手な文字や数字や単純記憶のテストにぶち当たり、頭が悪いのかと本人も親も深い沼にはまっていくのです。
「脳の配線と才能の偏り 個人の潜在能力を掘り起こす」GAIL SALTZゲイル・サルツ
この本には以下の内容が記されています。
・ADD(注意欠陥障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・全般性不安障害、強迫性パーソナリティ障害、パニック障害、恐怖症
・うつ病、気分変調症、不快気分
・双極性障害
・シゾイドパーソナリティ障害、統合失調症、統合失調感情障害
・自閉症スペクトラム障害
本全体を通して大変面白い内容が多く記されています。
関係が無い方も読んでみると発見や気づきが多いかと思います。
今回はこの中の「ディスレクシア」だけを私は取り上げたいと思います。
ここ数日の間に、耳にした会話にこういうのがありました。
「本来人は複雑なことが嫌いなんです。ですから、ここ近年の複雑化しすぎた世界情勢やネット世界がしんどいんです。それで無意識に自分の欲しい情報だけを見聞きし、冷静な判断ができなかったり、一方的な決めつけのレッテルをはったりします。これは人間が複雑さを嫌い世界を単純化しようとしているからです。」
なるほど、そうかと思いました。
それで私は合点がいきました。
「ディスレクシア」に関する書籍を沢山読んでも、実際のアールズの子供たちにぴったりとあてはまらないケースばかりで、あまり役にたたず、何年も理解が進まなかった原因が分かったのです。
どういうことかというと、私は単純に分かりやすくまとめられた「ディスレクシア」に関する記述ばかりを頼りにしすぎていたのです。
そもそも100人中5人から10人いると言われているディスレクシアです。
かなりの数です。
クラスに3、4人いるかもしれません。
それくらい一般的でたまたま誰がディスレクシアであってもおかしくない、そういう確率の障害ですから、多様性もまたかなりのものになるはずです。
十人十色の障害の現れ方があるのなら、本の中に答えは見つかりません。
これはは全ての特異性(発達障害)を抱えた子供の親に共通している記述です。
この本では発達障害と敢えて言わずに「特異性」と言っています。
ここにディスレクシアの人の特異性としての記述を一部ご紹介します。
・短期記憶が弱い
・長期記憶の方は全く影響を受けておらず、かなり複雑な内容でも意味を読み取ることができるし、書かれたものでも会話でも深く理解する能力を持っている。
・単語を覚えるのは苦労しても、その単語が表現する大きな概念を正確に理解している
・周囲の空間により広く注意を向けることで聴覚環境との情報のやり取りができる。要するに、他の人間には聞こえない音やニュアンスを聞き取ることができる。
・脳の左半球(言語理解の中心)にある欠陥は、右半球(空間認知の中心)に存在する強みを直接の関連があることが明らかにされた。鋭敏なパターン識別を持つことを考えると、芸術的創造性とディスレクシアとの間に強い相関関係があっても不思議ではない。
脳の特異性というものは難解だと改めて思いました。
長くなりすぎてしまいましたので最後に一言、
人間ってすごいです。
どんなにテストで苦労しても、自ら向き合い続ける根性があれば自分だけの秘密の扉を開けることができるかもしれません。
ちなみにこの本は文京教室に置いていて、貸し出しもしてます。
ご興味のある方は塾長にお声がけください。