
もくじ
『星の王子さま』との付き合い方・第4夜
王子さまはやっと地球にたどりつきました。
今回は、この物語の中で重要なカギを握る、「ヘビ」「バラ」「キツネ」に出会います。
Chapter16
こうしたわけで、七番目の星は、地球だった。
地球は、どこにでもあるような星ではなかった!
その大きいことといったら、六つも大陸があって、電気が発明される前は、そこに462511人という、まさに軍隊のような数のガス灯の点灯人がいたのだ。少し遠くから見ると、これは壮大な光景だった。
雄大な空から見た人の生活の灯りはきっと美しかったに違いありません。
Chapter17
星の王子さま「こんばんは」
ヘビ「こんばんは」
星の王子さま「どこの星なの、ぼくが落ちてきたのは?」
ヘビ「地球だよ。アフリカだ」
星の王子さま「そうか!……じゃあ地球には、誰もいないの?」
ヘビ「ここは砂漠だ。砂漠には誰もいない。地球は広いのさ」
サン・テグジュペリがリビア砂漠に不時着したときのようです。
ヘビ「かわいそうになあ、こんなにか弱いきみが、冷たい岩だらけの地球に来て。いつか、もし故郷の星にどうしても帰りたくなったら、おれが力を貸そう。おれが……」
星の王子さま「うん!わかったよ」「でも、どうしてきみは、謎めいたことばかり言うの?」
ヘビ「おれにはすべてが解けるから」
そうしてふたりとも、黙り込んだ。
ヘビは何でもわかるひとのようだ。謎めいているのはヘビだけではない。星の王子さまも僕に十分謎めいたことばかり言っていた気が……
Chapter18
そういえば、故郷の星には一重の花びらの花がもともといたなあ。ここでは三枚……
Chapter19
「誰なの……誰なの……誰なの……」こだまが答えた。
「友だちになってくれませんか、ぼく、ひとりなんだ」と王子さま
「ぼく、ひとりなんだ……ぼく、ひとりなんだ……ぼく、ひとりなんだ……」とこだま。
あ~ぁ、ますます孤独になっていく。
Chapter20
P94、95、96
道というものは、すべて人間たちのところへつながっている。
そこには、バラの花咲く庭園があった。
どれもこれも、みんな自分の花に似ている。
星の王子さま「君たちは誰?」
「バラよ、わたしたち」
星の王子さま「ええ!?」
そして、暗い気持ちで胸をしめつけられた。あの花は、自分のような花はこの世に一輪しかないと話していたのだ。ところがいま目の前に、そっくりの花が五千もあるではないか。それもたったひとつの庭園のなかに!
概念が覆ったのですね。いろいろ考えなおさなければいけませんね。
立派になりたいんですね。
Chapter21
キツネが現れたのは、そんなときだった。
P99
星の王子さま「『なつく』って、どういうこと?」
キツネ「ずいぶん忘れられてしまっていることだ。」「それはね、『絆を結ぶ』ということだよ……」
P100
キツネ「でも、もしきみがぼくをなつかせたら、ぼくらは互いに、なくてはならない存在になる。きみはぼくにとって、世界でひとりだけの人になる。ぼくもきみにとって、世界で一匹だけのキツネになる……」
星の王子さま「花がいてね……花はぼくをなつかせてたんだな……」
P101
キツネ「完ぺきな世界って、やっぱりないんだな」
P102
でも、もしきみがぼくをなつかせてくれたら、ぼくの暮らしは急に陽が差したようになる。ぼくは、ほかの誰ともちがうきみの足音が、わかるようになる。きみの足音は、音楽みたいに、ぼくを巣の外へいざなうんだ。きみは金色の髪をしている。そのきみがぼくをなつかせてくれたら、すてきだろうなあ!金色に輝く小麦を見ただけで、ぼくはきみを思い出すようになる。麦畑をわたっていく風の音まで、好きになる……」
P103
キツネ「なつかせたもの、絆を結んだものしか、ほんとうに知ることはできないよ」「人間たちはもう時間がなくなりすぎて、ほんとうにはなにも知ることができないでいる。なにもかもできあがった品を、店で買う。でも友達を売っている店なんてないから、人間たちにはもう友だちがいない。きみも友だちがほしいなら、ぼくをなつかせて!」
キツネ
「がまん強くなることだ」「はじめは、ぼくからちょっとだけ離れて、こんなふうに、草のなかにすわるんだ。ぼくは横目でちらっときみを見るだけだし、きみもなにも言わない。ことばは誤解のもとだから。でも、日ごとにきみは、少しずつ近くにすわるようにして……」
P105
星の王子さま「ならわしって、なに?」
キツネ「これも、ずいぶん忘れられてしまっている」「ある一日をほかの毎日とはちがうものにすること、あるひとときを、ほかの時間をはちがうものにすること。たとえば、ここの猟師たちにはならわしがある。毎週木曜日には、村の娘たちと踊るんだ。だから、木曜日は天国さ!」
P106、107
キツネ「もう一度、バラたちに会いに行ってごらん。きみのバラが、この世に一輪だけだってことがわかるから。それからぼくに、さよならを言いにきて。そうしたらきみへの贈り物に、秘密をひとつ、教えてあげよう」
P108
キツネ「じゃあ秘密を教えるよ。とてもかんたんなことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」
キツネ「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」
P109
そうか、そうかと思いました。そうか、そうだなと思いました。定住するものも、各地を旅するものも、意に反して流転するものも皆同じ真理の元にあります。そうか、そうだなと噛みしめました。