企業の矜持と言葉狩り

まずは先日投稿された日経ビジネスの記事をご覧ください。

「明日は休日ですね!皆さんは何します!?私は、嫁から『とりあえずこれを読め』と佐々木倫子先生の『Heaven?』を全巻渡されたので読みます」――。一見すると変哲もないこの投稿が、SNS上で議論を呼んだ。発信したのは「靴下屋」などのブランドを運営する靴下メーカー・タビオの公式ツイッターアカウントだ。

11月2日に投稿されたこの投稿に対して、「『嫁』という言葉は不適切」「どうして配偶者を見下す表現をするのか」といった声が一部から寄せられた。その2日後、タビオの公式アカウントは「『妻』とするところを『嫁』としてしまい、不適切な表現となってしまいました。(中略)今後気をつけて参ります」とツイッターに投稿。この発信に対してさらに「無視すればよかったのに」「なぜ謝罪したのか」「気にしないでください」といった反応が入り乱れた。

2つ問題点があると思います。
1つ目は、企業の事なかれ主義です。
「ものの道理」に照らして、謝罪すべきかどうかではなく、「見込み客からのネガティブな反応」だから謝罪しているのです。
私も、ある意味客商売をしていることになるので、その気持ちが分からなくもない。
しかし、これを謝罪するようでは、先が思いやられます。
ツイッターの「中の人」に謝罪を指示した上司の人には、ぜひとも『論語と算盤』をご一読いただきたいものです。
2つ目は、言葉狩りの問題です。
『嫁』という言葉が、「配偶者を見下している」というのは傲慢な決めつけです。
漢字の成り立ちが、「女偏に家だから、女は家にいるものという偏見を助長する」という輩まで沸いていて、あきれたものです。
そんなことにこだわっていたら、この世から消し去るべき漢字や熟語なんていくらでも出てきます。
また、「配偶者を見下している」という意見を言った人は小学校の国語からやり直した方がいいです。
「明日は休日ですね!皆さんは何します!?私は、 から『とりあえずこれを読め』と佐々木倫子先生の『Heaven?』を全巻渡されたので読みます」
問い:下線部①「嫁」とあるが、筆者は嫁にどういう気持ちを抱いているかを答えよ。
これ、答えられますか?
この問いに対して
「嫁を見下している気持ち」
と答える人がいたら
あぶないクス○でもやってんのか?
と私なら思います。
このように、「見下している」という解釈が無理筋であることに加え、この炎上のおかげで「嫁」という言葉が使いづらくなるのは、文化的な貧困を招くことになります。
同じ対象でも、いろいろな言い方があることで、微妙なニュアンスの差を出すことができます。
「妻」「嫁」「ツレ」「カミさん」「かあちゃん」「内儀」「奥」「細君」「大蔵省」「ババア」
とさまざまな言い方があり、語の印象と文脈の組み合わせによってさまざまな表現ができるようになります。
たとえば、このような言葉狩りのせいで、分かりやすく困るのは古典落語の噺家さんでしょう。
演者が自分の妻のことを
「またうちのババアがね……」
と……のところで面白いことを言って会場がドッと受けるのは、「ババア」という言葉がもたらす効果を無視できません。
これを、なんちゃらに阿って「配偶者がね……」と言われても白けてしまいます。
こういう言葉狩りを平気でする連中が私は大嫌いです。
ここのブログだって【嫁ブログ】なんてやって、変える気もさらさらなくやっているので、
件の靴下屋さんも次からは謝罪せずに頑張ってほしいものです。
世の中には、クレームに負けず正々堂々とこんなことをやる旅館だってあるのですから、
教室の詳しい内容はこちらです
さくらぷりんと
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