
もくじ
榎本博明氏の主張は正しいのか
榎本博明氏は立派な学者です。心理学が専門で著書も多数あります。氏の数多くある著書の1つに、表題の『ほめると子どもはダメになる』があり、私の中で賛否を巻き起こしています。アマゾンのレビューを読んでいてもなかなか興味深いものがあります。
この本ですが、率直に言って損をしていると思います。
編集が「逆張り」をして、売上げを計ろうとしたのが見え見えで、中身は「ほめすぎはだめだ」という常識的内容なのです。
実際、榎本先生がこれまでに書いた著書を見ると、『子どもを「叱りすぎた」あとにお母さんがやるべきこと』のようなタイトルの本もあります。 榎本先生が「正しい・正しくない」というより、タイトルが極端すぎるのではないかという感想です。
褒めるも叱るも大切
褒めるばかりで叱ることがなくては、単なるわがままっ子になるという恐れが私達にはあります。これは大切な感覚だと思います。私は「笑顔」とか「認める」とか常々主張しておりますが、それは何も「叱らない」ということではありません。
私のブログでよく登場する石田勝紀氏は、著書の中で子供に望ましい行為を伝える段階として、「諭す」「怒る」「叱る」の三つを定義し、「叱る」は非常時にのみ発動する最終手段であると述べています。
昨今は、「褒めて伸ばす」が流行っています。その背景には、日本の学生の自己肯定感が低いという調査の影響がないとは言えないでしょう。これは歴史的にそうでありまして、その変遷については以下のリンク先で、木村治生氏が詳しく述べらいます。
https://www.blog.crn.or.jp/lab/11/03.html叱るばかりもいけないけど、褒めるばかりもどうなのか。というのは正常な感覚だと思います。
メタ認知と自己肯定感とセルフ・コンパッション
木村氏は、メタ認知に基づいた適切な自己肯定感を持つことが大切と主張されています。メタ認知とは、簡単に言えば自分を客観視する能力です。自分にできること・できないことを把握した上で、自己肯定感を持つことが大切ということです。
そりゃそうでしょう、自己肯定感が高いと言っても、やみくもに「私は価値の高い人間である」
と思い込みだけが先行して、努力が伴わなければ単なる「残念な人」です。
すべての子供達が、能力が高いわけではありません。
かと言って、それを他人と比較して低い自己肯定感を持ち続けても幸せにはなれません。
自分の「あるがまま」を受け入れながら、成長を目指したいものです。
自分を肯定的に受け入れられれば、パフォーマンスが上がります。
そうした状態のことをセルフ・コンパッションと言います。これをつきつめると「マインドフルネス瞑想」まで行っちゃうみたいですが、教室で勉強中に瞑想するわけにもいきませんので、活用できる要素があればうまく取り入れたいと考えています。
まとめ
子供を褒めすぎるのも、叱りすぎるのもよくない。
自分を責めすぎるのも、自信過剰もよくない。
バランスが大事。
ありきたりな結論になってしまいました。