もし、若い人がこれから新しくそろばん教室を始めようとするなら、
どんな手順になるのか。
必要な条件は何か。
思考実験してみようと思います。
もくじ
1実力
そろばんの先生をするのならば、そろばん経験がないと話になりません。
目安としては、できれば珠算も暗算も段位に合格しているか、同等の実力を持っていることが望まれます。
2そろばんの先生としての勉強
そろばんの先生としての勉強は、思ったより大変です。
そろばんの教え方はいろいろあるため、自分が習ったやり方が最適解とは限りません。
たとえば、かけ算一つ取っても、何種類もやり方があります。
かけ算の計算方法は、大きく分けて頭乗法と尾乗法があります。
これに桁の読み方を付け加えると、やり方は枝分かれしていきます。
それらのやり方を知った上で、教室として採用するやり方を決めなくてはなりません。
これから先生をする人は、かけ算だけでも、どのやり方を採用するかで、全体の指導方法に影響することを知っておかなければなりません。
3教材と指導過程
どんな教材を採用するかは指導過程にも影響します。
例えば、業者さんから一式購入するのもいいでしょう。
手前味噌な話にはなりますが、プリントを自作できればなお良いです。
プリントを自作するのは、大変な労力と時間が求められますが、
自作プリントのよいところは、自分の教え方や生徒の実情に合わせて、自分の思うように改良できるところです。
さて、指導過程です。
指導過程の策定は、生徒達に上手になってもらえるかどうかの肝となります。
- 初級期をどう乗り切るか。
- かけ算の導入時期はどうするか。
- わり算の導入時期はどうするか。
- 暗算の扱いをどうするか。
- 上級者や有段者にどんな練習メニューを組むか。
よく考えて指導過程を作りましょう。
そして、実際に生徒を指導しながら、よりよいものに磨き続けましょう。
4教室の開設準備
いよいよ教室の開設になります。
まとまった資金がない場合は、地域のコミュニティセンターを借りて授業をするとよいでしょう。
初期投資をほとんどしたくない場合は、SNSを活用してオンラインで教えるのもよいかもしれません。
どこかにテナントを借りて自分の教室を持つ場合は、なるべく初期投資を抑えるよう頑張ってください。
どんな形にせよ、そろばん教室は、大儲けできるようなお仕事ではありません。
地道にこつこつが一番です。
5連盟
そろばん教室をする場合、検定試験があった方がいいです。
検定試験を受験するためには、珠算団体に所属するのをおすすめします。
珠算団体は、主なもので全珠連、日珠連、学校連盟などがあります。
比較検討してどこの団体に所属するか決めましょう。
6修業
そろばんの先生をやるのに、いきなり自分で開業するよりも、
どこかのそろばん教室を手伝うなどの修業期間を経て開業する方がより安全でしょう。
他のそろばん教室を手伝うのが難しい場合でも、
複数のそろばん教室を見学させていただくことはしておいた方がよいかもしれません。
そろばん教室だけでなく、連盟の各支部で行っているイベント(主に競技会)に参加したり、視察したりすることも非常に良い経験になります。
7そろばんの先生はよい仕事か
そろばんの先生をやり始めたら、満足のいく生徒数を確保できるようになるまで、さまざまな苦労があるでしょう。
もしかしたら、道半ばで倒産の憂き目に遭うかもしれません。
しかし、ひとたび評判が良くなり、実績を積み、地域の皆様に信頼される教室となれば、経営は安定します。
そろばんの先生は、世間とのしがらみがとても少ないお仕事です。
また、予定も自分で決めることができます。
休みたいときに、休めます。
定年もありません。
健康である限り、何歳まででも続けられます。
私の所属する地区には、80歳の先生がおられます。
非常に自由度の高い仕事です。
その代わり、儲けはそれほど大きくありません。
- 周囲の人が驚くようなお金持ちにはなれないけど、自由でいることが好きな人。
- 長い物に巻かれるような人生がいやで、自己決定の幅が広いことが好きな人。
- 子供たちに勉強を教えるのが好きで、やりがいを感じる人。
こんな人に、そろばんの先生は向いています。
なぜ、こんな記事を書いたかというと、
そろばんを習う子供が増えることを心から願っているからです。
そして、どうせ習うなら専門性の高い教室で習ってほしいという希望があります。
もっと欲張りを言うなら、アールズの卒業生からそろばんの先生が誕生してくれたら、とても嬉しいです。
そろばん経験のある若い人が、そろばん教室を始めるとしたらどんな準備が必要か、
非常に簡単ではあるのですが、解説を残しておこうと思った次第です。