
素読の主軸となる教材『令和往来』ですが、最初に手掛けたのが令和4年のことでした。
最初の構想を見ると、たった三年前のことですが、
「稚拙であったなあ」
という感想です。
巧遅は拙速に如かず という点においては良かったのかも知れませんが、
今年の始め、我慢できずに、『令和往来7年版』と銘打って、密かに改定を施しました。
収録作品や、順序を再考し、作り直したのですが、
1年も経たないうちに今回の8年版の改訂に踏み切ったのは、
先月、白峰寺に崇徳院の御陵と西行法師の歌碑を訪問したのがきっかけでした。
江戸時代に上田秋声によって書かれた怪異小説、『雨月物語』の冒頭が西行を主人公とした白峰の話であることを知り、早速実家の本棚を漁って古典文学全集の中より『雨月物語』を掘り出しました。
讃岐の国で読み書きそろばん教室を営みながら、これを教えないというのはいけないと思い、これを上級の3冊目に挿入しました。
ならばと、
以前から思っていた、古事記の和歌と『天地の發まり』も追加し、近代和歌は歌人ごとに取捨選択、
私の手による文章は排除して、
しばらく「日課」として試験導入していた、高村光太郎の『少年に与ふ』、『實語教』『梅花の歌三十二首併せて序』を中級に回し、
『発願利生』は上級へ……。
と、次から次へと改善することになり、気付けば大工事となっていました。
結果、初級から上級まで、各3冊ずつとなり、初級3以外はどの冊子も10単元ずつというすっきりした構成になりました。
内容としては以下のようになります。
和歌(いろは歌・長歌を含む) 77首
漢詩・漢文 21編
経典・仏典・祝詞 4編
文語詩・近代詩 8編
古典文学 28編
近代文学 6編
厳選に厳選を重ねたつもりですが、私なりの偏りがあることは否定できません(例:宮沢賢治びいき)。
さしあたりの完成形として、収録作品を公開いたします。
アイキャッチ画像は西行歌碑
よしや君 昔の玉の床とても かからん後は 何にかはせん



