『10分で読める名作』で読書感想文 6年生「小僧の神様」

「小僧の神様」という作品は、難しく読もうと思えばいくらでも難しく読める作品です。

しかし、小学校6年生に大正時代のごちゃごちゃを理解してもらう必要はありません。

そこで、作品からは「どうやって小学生でも理解できるテーマを取り出せるか」が勝負になります。

それと同時に、今回は

学校では教えてくれない読書感想文がもっと書きやすくなるポイント

が含まれていますので、皆さんぜひ参考にしてください。

 

 

もくじ

あらすじとテーマ

神田のはかり屋で働いている小僧の仙吉は、ある日、電車賃を倹約してすし屋に入ったが、値段が高くて食べられなかった。それを見て気の毒に思っていたAは、偶然買い物に行った店で仙吉を見つけた。名を明かさないまま仙吉を連れ出してすしを思う存分食べさせてやり、いいことをしたつもりのAだったが、変にさびしい気持ちにとらわれてしまう。一方、思わぬ幸運にめぐまれた仙吉は、Aの存在を超自然なものと考えていたが、やがて感謝する気持ちになり、心のささえとした。

 こんな物語でも、小学生でも分かるテーマを取り出すことはできます。

ここでは2つ考えてみました。

 

①お金持ちのきまぐれ

②友達

 

①お金持ちのきまぐれ

私の教室では、「小僧の神様」から派生させて

「お金持ちが、きまぐれに貧しい者に施すことはよいことか?」という視点で、対比作文を書く指導をすることがあります。

 

②友達

やはりこちらが分かりやすいのではないでしょうか。

ごちそうする前に友達になれば、ごちゃごちゃ悩む必要もないのでは?という非常に分かりやすい感想です。

いつものように、自分の体験談を書いて、読書感想文を書いていきましょう。

今回のポイントは

登場人物の行動は批判してもよい

これを覚えましょう。

 登場人物にケチをつけると作文が書きやすくなる

小学生には発想しにくいことですが、一度この技を覚えると、感想文はがんがん書けるようになります。

これは学校ではあまり習いませんが、

「登場人物って批判していいんだ」

という発想が加わると、書けることの幅が一気に広がります。

作品を批判したり、登場人物を批判したりすることに今の小学生は慣れていないと思いますので、難しく考えるのはやめましょう。

「私だったら~するのに」

「ふつうは~するのに、なんかおかしい」

のように考えたり、書いたりするのは「あり」だと覚えておくだけでいいのです。。

 今回の「小僧の神様」での読書感想文例では、

「私だったら~するのに」

をやっています。

読書感想文例
 私は、最近新しい友達ができました。
 名前はひまりちゃんといいます。ひまりちゃんはニ年生です。
 私よりずっと年下ですが、私とひまりちゃんはとても仲良しです。
 ひまりちゃんと初めて会ったのは、学校の帰り道でした。
 まだ長袖だったので、四月ぐらいだったと思います。
 低学年なのに、一人で歩いているので、
「おうちまで、一緒に帰ろう」
と声をかけました。
 するとひまりちゃんは、うれしそうに
「うん」
と言ってくれたのを今でも覚えています。
 一緒に帰ったら、私の家の近くだったのでびっくりしました。
 それから、私とひまりちゃんは仲良くなりました。
 ひまりちゃんは、たまに私の家にきてくれます。そして、一緒に遊びます。
 友達ができるのは、うれしいです。でも、何かきっかけになるかはわかりません。私は、いろいろなきっかけで新しい友達を作れるようになりたいと思います。
「小僧の神様」という話では、貴族議員のAという人が出てきます。
Aは、ある日すし屋で小僧の仙吉を見かけます。
 仙吉は電車賃を節約してお金をためてすし屋に行ったのですが、お金が足りなくて食べられませんでした。それを見ていたAがかわいそうに思いますが、その日はごちそうしてあげませんでした。
Aは仙吉を助けるのになんだかおびえているような感じがします。
「冷や汗ものだ」
と言っています。
 お金を少ししか持っていない仙吉にごちそうしてあげたいと思うなら、Aはまず仙吉と友達になればいいのに、なぜしないのだろうと私は思いました。
 Aは名を明かさないまま仙吉を連れ出してすしを思う存分食べさせてやります。そして、いいことをしたつもりだったのに、変にさびしい気持ちになっています。
 おまけに
「おれのような気の小さい人間は、まったく軽々しくそんなことをするものじゃあ、ないよ。」
と言っています。
 Aは、仙吉にごちそうしたあとで、さびしい気持ちになって、しかもそれを後悔しているような発言をしています。さいごには、ごちそうしてあげたすし屋にも行かなくなるし、仙吉がいる店の前も通れなくなってしまいます。Aは何も悪いことはしていないのに、まるで悪いことをしたみたいです。
 私は、やはりAは仙吉と友達になっていればこんなことにはならなかったと思います。Aは、仙吉に少ししか話をしていません。
「私は先へ帰るから、じゅうぶん食べておく れ。」
 とAは仙吉に言います。これを読んだ私は
「なんで先に帰っちゃうの?」
と叫びたくなりました。せっかく仙吉とAが仲良くなれるかと思っていたのに、がっかりしました。
 それにAは仙吉にごちそうすることしか考えていません。仙吉にもっとたくさん話をして、自分のことも話して、仲良くなればよかったのにと思います。そうすれば、一緒においしいおすしを食べて、楽しい時間が過ごせたはずです。
 友達になるのに、大人とか子供とか、貴族とか貴族でないとか、議員とか議員でないとか、そういうことを気にする方がおかしいと思いました。
 たしかに、Aはお金持ちで貴族という身分の高い人かもしれないけど、私はAのようにはなりたくありません。友達になりたいと思った相手とは誰とでもちゃんと友達になれるようにしたいです。

原稿用紙版はこちらです

 

 

 

 

 

10分で読める名作 6年生 (よみとく10分)

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