認知バイアスと飛行機雲

皆様、連休はいかがお過ごしでしょうか。

昨日(4日)は快晴でしたね。

私は、夕暮れ時に妻と娘の3人でちょっとした散歩に行きました。

 

よくご存じの方には耳タコだと思うのですが、娘は重度の知的障害があり自閉症です。

そのため、左脳(言語・理論)が全くと言っていいほど発達していないかわりに、右脳(空間認知・直感)は鋭いものがあります。

 

そんな娘は、晴れの日が大好きで、特に雲一つない青空の日はとても機嫌が良くなります。

娘は、数年前から、まあまあ晴れの日であるにもかからわず、空を指さしながら

「雲、雲」

と、さも機嫌悪そうに、声をとがらせてしつこく繰り返すようになりました。

それに対して私と妻は、

「いやいや、結構晴れてるやん」

「天気って変わるものだから。こんなもんよ」

と切り返すのですが、

それでも

「雲!雲!」

と繰り返し続けます。

 

ただ繰り返すだけならまだいいのですが、

どんどん機嫌が悪くなり、

パニック状態になり、

言葉は支離滅裂になり、

まるでのたうち回っているようになります。

 

その様子は、数年前からずっと変わることなく、

青空が損なわれるのを見ると必ず空ばかり見て

「雲!雲!」

「大きい空、晴れたらお散歩行くよ」

を何度も何度も言い続けます。

 

寝つきも悪く、すぐに目を覚ましては、カーテンから頭を出して、空を見上げています。

そして、不安をつのらせた娘は、数日後の天気までチェックしたがるようになりました。

自分のパソコン画面に天気予報のサイトをすぐに表示したいらしく、

そのようにPC設定をしてくれと親に頼んできました。

 

そうして娘は、毎日のように天気をチェックし、実際の空と照らし合わせます。

天気予報では快晴なのに、

空にはうっすらとガスがかかり、

何本かの白い筋がたなびいています。

この空に納得がいかず、また上空を指差し

「雲!雲!」

と苛立たしそうな声をあげます。

 

こんな感じの娘に、正直手を焼いていました。

どうにかして、娘の興味を天気からそらさないといけない。

そうも思っていました。

 

さて、昨日の夕方は、

「わりと天気のいい日だな」と思いながら歩いていたのですが、

なんだか昼はすっきりした青空だったのに、

上空はうっすらとした雲でもない霞でもないものに覆われている感じでした。

 

そして、やたらと多い飛行機雲・・・・・・。

皆様は「ケムトレイル」という言葉をご存知でしょうか。

私はこの言葉自体は、数年前から知っています。

 

飛行機が、人体や農作物に有害な物質を含む飛行機雲を意図的に撒くことがあり、

それをケムトレイルと一部の人たちが呼んでいました。

「そんなの陰謀論だ」

「そんなことあるわけない」

こういうのが一般的な反応だと思います。

 

私自身は、「そういうこともあるのかな」と半信半疑でありながら、

ケムトレイルがばら撒かれている可能性は低くはないと思っていました。

直感が働かないので、態度を保留している」という感じです。

 

最近のことですが、アメリカ合衆国保健福祉長官のロバート・ケネディ・ジュニアが、

ケムトレイルの存在とその有害性を認め

「責任を取らせる」

と公共の場で発言したことが話題になっています。

検索をかけると色々出てきますが、参考動画を記事下に貼っております。

 

しかしながら、私はこの世の陰謀よりむしろ、「認識」について語りたいと思っています。

 

4日の夕方の空は、それはそれはひどいものでした。

娘はやっぱり空を見て

「雲!雲!」

と言います。

 

見れば、たしかにたくさんの飛行機雲が、讃岐平野に網をかけるように、横に斜めにかかっています。

「あの飛行機は、どこに帰っていくんだろうね?」

妻が私に聞いてきたので、

「ああ、行先の飛行場じゃない?」

と私は軽く返しました。

なぜなら、空に見えているいくつかの飛行機を、

私は旅客機だと認識していたからです。

 

「いやいや、あれ旅客機じゃないよ?」

「え、ケムトレイルって旅客機がやってるんじゃないの?」

私は反論しますが、さらに妻は上空の飛行機を指差しながら食い下がります。

「見たらわかるやん!乗客乗ってないよ!!」

「え……あれ、旅客機じゃないの?」

「見たらわかるやん!!!ほら、あそこにも、あそこにも!!!!!」

 

その時間帯、上空には常に4機から5機の飛行機が、飛行機雲を吐きながらあちこち飛んでおり、

それは旅客機にしては低空を飛んでいるし……

たしかに旅客機よりも小さなサイズ感だし……

飛行する軌道が、旅客機のそれとは違うよう・・・・・・な気がする。

 

なんと、私は妻と数分のやり取りの後に、やっと認識を改めることができたのです。

「あの空を飛んでいるものは『旅客機』なんかじゃない」と。

 

まさに、目の前で起こっている「同じ現実」を共有しているにも関わらず、

「旅客機ではない」という指摘を受けて、その認識を変えるのに数分かかってしまったのです。

 

ここで思い返すのが、数年前からの娘の空に対する反応です。

娘は空の雲に反応していたのではなく、

彼女の直感にしたがって飛行機雲に強い違和感を抱き、

それを私たちに伝えたかったのではないか。

 

しかし、私たち夫婦は、娘と同じ空を見ながら、

「明日になればきっと晴れるよ」

のような、素っ頓狂な切り返しをしていたのです。

 

冒頭申し上げた通り、娘は多くの言葉を知りません。

それでも、私たちに違和感を伝えようとして、

何度も何度も繰り返したのに取り合ってもらえない。

娘には悪いことをしたと反省すると同時に、

認知バイアスの恐ろしさを痛感したものです。

 

認知バイアスに関しては、

私たちの持っている認知バイアスが露わになる典型例があります。

たとえば、超過死亡の問題、パンデミックの問題、日本政府の問題など

これらの問題については、いろいろな人が、いろいろな事を言っています。

それらの情報の取捨選択能力が大切なことは言うまでもありませんが、

それぞれの問題について判断することは、自分の持っている認知バイアスとの戦いであるのかもしれません。

 

私は最近、自分の直感を信じていろいろ判断するように心がけているものの、上記の通りまだまだ修行が足りないようです。

 

さくらぷりんと
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